アクティビティのねらい・概要
ねらい
このアクティビティは、サマライジングという通訳トレーニングで使用されるスキルを使って、日本語の音声を別言語で要約する活動です。
キーワードを拾い、短時間で簡潔に文の要点を伝えられるようになります。
概要
目標 |
|
学生の日本語力 | 中級後半(B2)以上 |
その他の言語力 | 中級後半(B2)以上の媒介語が必要 |
所要時間 |
30分 |
おすすめクラス | 大意をつかんで聞く練習をしたいときにおすすめ |
手順
1.サマライジングの説明
- 【教師】通訳トレーニングで使うサマライジングの方法・コツを説明します。
【サマライジングの方法】
- 日本語の音声をパラグラフ(段落)単位でメモを取りながら聞く。
(※記憶にとどめられる程度の長さ・内容であれば、メモをとらなくてもよい) - 段落を聞き終えた段階で、簡単な要約を英語(またはその他の媒介語)で言う。
【サマライジングのコツ】
- 話された情報をすべて言う必要はない。文脈上大切なキーワードを拾い、それを頭の中でつなぎあわせて、短時間で簡潔に要約する。
- 音声教材を聞いた後で、原稿を見て、発話者の論の構築の仕方、接続詞の使い方などを分析する。
(参考:日本通訳協会(編)『英語通訳への道』p. 163)
2.練習
- 【教師】①日本語の講演・ニュースなどの音声と、②音声の書き起こし原稿を用意します。
【教材の例】
- NHKやさしいことばニュース(NEWS WEB EASY):できるだけやさしい日本語でニュースを伝えるサイトです。日本語の音声とスクリプトがみられます。中級クラスでおすすめです。
- NHKニュース(NHK Weekly News):NHKの1週間分のニュース動画とそのスクリプトが見られます。上級クラスでおすすめです。
- NHK高校講座:高校生向けの授業が見られます。完全なスクリプトはありませんが、「文字と画像で見る」から動画の要点を文字で確認できます。上級クラスでおすすめです。
- 【教師】音声を流します。段落単位で音声をとめます。
- 【学生】キーワードをメモをしながら聞きます。段落が聞き終わった段階で、要約を英語(またはその他の媒介語)で言います。
- 【教師】学生が要約を言い終わったら、原稿をスクリーン等にうつして見せます。段落の中のキーワードを確認します。
- 【学生】自分のメモと見比べながら、自分がキーワードを拾って要約できていたかを確認します。
- 【教師】次の段落の音声を流します。音声が終わるまで、上記を繰り返します。
【サマライジングの例】
<音声>
アカデミー賞を選んでいる団体は、「学生アカデミー賞」を、毎年、決めています。ことしのアニメーション部門で、22歳の金森慧さんが銀賞をもらいました。「Origami」という作品です。四角い形の紙が、いろいろな生き物に変わるCGのアニメーションです。東京にある大学を卒業するときに、つくりました。
(NHKやさしいことばニュース(2024年10月18日)より抜粋)
<要約例>
Kei Kanamori won the silver prize in the animation category of the Student Academy Awards this year for a CG animation titled “Origami.”
<キーワードの例>
「学生アカデミー賞」、「金森慧」、「銀賞」、「Origami」
参考文献
- 日本通訳協会(編)(2007)『英語通訳への道』大修館書店.
こんな先生・活動にお勧めです!
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通訳トレーニングで使われているサマライジングを学ぶことで、大意をつかみながら聞く力を養うことができます。
リスニング力を高めるためにも利用できますし、通訳をする際の準備段階の活動としても取り入れることができます。
音声の内容を調節することで、中級レベルでも導入できる活動になっています。