通訳トレーニングを取り入れてみよう:クイックリスポンス

アクティビティのねらい・概要

ねらい

このアクティビティでは、通訳トレーニングで導入されているクイック・リスポンスに挑戦します。

この活動を通して、日本語と英語の間の処理能力を強化し、語彙の定着を図ることができます。

概要

目標
  • 語句や短文を即座に日本語から英語、英語から日本語にすることができる。
  • わかる語彙・使える語彙を増やせる。
学生の日本語力 初級(A1)以上
その他の言語力

使用する英語の語句・例文が理解できるレベル

所要時間

10分
おすすめクラス 短い時間に少し入れてみるのがおすすめ。

手順

1.語句レベルのクイックリスポンス

  • 【教師】事前に使用する語句リスト(日本語・英語)を準備しておきます。語句リストは、以前クラスで使用した教材などから選ぶこともできます。

語句リストの例です。

(1) 南極 (1) South Pole
(2) 発掘 (2) excavation
(3) 乗り物に酔う (3) feel travel sick
(4) 電話がつながる (4) get through on the telephone
(5) 探検 (5) exploration
(6) 世界遺産 (6) World Heritage site
(7) 軽く体操する (7) do light exercise
(8) 車いすを寄付する (8) donate a wheelchair
(9) 落ち着く (9) calm down
(10) 流氷 (10) ice floe

(『みんなの日本語 中級I 翻訳・文法解説 英語版』第11課 p. 37~40より抜粋)

※語句リストの内容や量は、学生のレベルや、クラスで使用予定の教材によって自由に設定できます。

  • 【教師】まず、日本語⇒英語を行います。日本語の語句リストを読み上げるか、事前に準備していた音声を流します。
  • 【学生】日本語が聞こえたら瞬時に英語を言います。
  • 【教師】次に、英語⇒日本語を行います。英語の語句リストを読み上げるか、事前に準備していた音声を流します。
  • 【学生】英語が聞こえたら瞬時に日本語を言います。

2. 短文レベルのクイックリスポンス

  • 【教師】事前に使用する短文のリスト(日本語・英語)を用意しておきます。

短文リストの例です。

(1) だんだん春らしくなってきました。 (1) Little by little, it became spring-like
(2) これからは、日本で働く外国人が増えていくでしょう。 (2) The number of non-Japanese nationals working in Japan will probably increase from now on. 
(3) 今日は恋人の誕生日なんだ。 (3) It’s my girlfriend’s birthday today.
(4) 電話でもかけてあげたらどう? (4) Why don’t you call her or something? 
(5) 新聞によると、昨日の朝、中国で大きい地震があったらしい。 (5) According to the newspaper, there was a large earthquake in China yesterday morning.

(『みんなの日本語 中級I 翻訳・文法解説 英語版』第11課 p. 95~100より抜粋)

※短文リストの内容や量は、学生のレベルや、クラスで使用予定の教材によって自由に設定できます。

  • 【教師】まず、日本語⇒英語を行います。日本語の短文リストを読み上げるか、事前に準備していた音声を流します。
  • 【学生】日本語の文を聞き終えたら、すぐに英語の訳文を言います。スムーズに言えるようになるまで、繰り返し練習します。
  • 【学生】日本語の文の最後まで聞き終える前に、フレーズごとに、ほぼ同時に訳文を言うというやり方でも練習します。ただ、同時に訳をしながら、次のフレーズも聞き漏らさないようにします。
  • 【教師】次に、英語⇒日本語を行います。英語の短文リストを読み上げるか、事前に準備していた音声を流します。
  • 【学生】英語の文を聞いて、瞬時に日本語の訳文を言います。

参考文献

  • 日本通訳協会(編)(2007)『英語通訳への道』大修館書店.

こんな先生・活動にお勧めです!
E

日常的に複言語を使う環境にある学生に対して行うと、2言語間の処理能力が向上して効果的です。
例文や語彙を調節することによって、どのレベルでも実施可能です。量が多いと負担になるので、短時間で継続的に取り入れるのがおすすめです。

今回は、日本語・英語の間の語彙レベル・短文レベルのクイック・リスポンスの例を紹介をしましたが、どちらもやる必要はなく、学生の日本語レベルに合わせて、どちらかをやるという形でも問題ありません。

また、学生の母語に合わせて、英語以外の言語で実施することもできます。複言語で育つ家庭の子どもに行うことで、母語の保持にも貢献することができます。