言語景観分析プロジェクト:街の看板を分析しよう

アクティビティのねらい・概要

ねらい

このアクティビティは、初級後半から導入可能な言語景観分析プロジェクトです。

言語景観とは、広告看板・道路標識・掲示物・ポスター等の文字言語のことです。

言語に対する分析力を高めるだけでなく、クラス内外をつなぐ活動としても活用できます。

概要

目標
  • 観光地の言語景観を分析できる。
  • より多くの人が理解できるような言語景観の提案ができる。
学生の日本語力 初級後半(A2)以上

その他の言語力

特に要件なし

所要時間

2時間
おすすめクラス クラス内外をつなぐ活動として取り入れるのがおすすめ。

手順

ロードマップ

1.ウォームアップ(観察)

  • 【教師】最初に一つの看板・標識・掲示物・ポスターの例を提示します。

提示する看板等の例としては、以下があります。文化的な要素が入ったものが望ましいです。

  • 「なまず」を使った地震関連の看板
    ※日本では「なまず=地震」のイメージがありますが、他の文化圏では共有されていないことも多いです。

引用:警視庁HP「緊急自動車専用路・緊急交通路

  • 「かっぱ」を使った水辺の注意書き
    ※河童は、川や池に住む妖怪で、泳いでいる人を水中に引きずりこんで、溺れさせると言われています。

引用:FM NACK5「カッパのドジっ子看板

  • 【教師】看板等の意味を確認した後、以下のような質問を投げかけます。
    • まず何に目がいきましたか。
    • どんな絵、どんな色、どんな文字(漢字・ひらがな・片仮名・ローマ字)がありますか。何が書いてありますか。
    • どんな言語が使われていますか。
    • そのほか、どんなものが書かれていますか。
    • これは何の看板ですか(広告、公共表示、飲食店の看板等)。
    • どこにあった写真だと思いますか。
  • 【学生】ペア・グループになって話し合い、その後クラス全体で共有します。

2.教師主導の分析

  • 【教師】さらに分析をすすめるため、以下のような質問を投げかけます。
    • この看板等の意図は何だと思いますか。
    • なぜその文字(漢字・ひらがな・片仮名・ローマ字)を使っていると思いますか。
    • (言語が複数ある場合)なぜその言語を使っていると思いますか。
    • なぜこのような絵を使っていると思いますか。
    • 似たような表示を、あなたの知っている国・地域で見たことがありますか。見たことがある場合、どのくらいの頻度で見ますか。またはなぜ見たことがありませんか。
  • 【学生】ペア・グループになって話し合い、その後クラス全体で共有します。

3.学生参加型の分析

  • 【教師】看板の中の絵を隠します。あらゆる国・地域の人にもわかりやすい看板にするのだったら、どのような絵がいいかを考えさせ、描いてもらいます。
  • 【学生】ペア・グループになって描いたものを共有します。その後クラス全体で共有します。
  • 【教師】文字を隠します。あらゆる国・地域の人にもわかりやすい看板にするのだったら、どうするのがいいか考えさせ、翻訳を加えたり日本語を書き換えたりしてもらいます。
  • 【学生】ペア・グループになって書いたものを共有します。その後クラス全体で共有します。

4. クラス外での活動

  • 【学生】一週間かけて、様々な場所で、公共の看板等で気になったものの写真を撮って、クラスに持っていきます。もし出かけるのが難しい場合は、インターネットで検索して、気になる看板等を探します。

※以下のように、クラスで使用した教材やテーマに合わせて、探してくる範囲を狭めてもいいです。

  • 動物の絵が入っている公共の看板を探す
  • 「~ないで」という表現が入っている看板を探す
  • 多言語で書かれている看板を探す
  • ひらがな・漢字表記が普通なのに、あえて片仮名が使われている看板を探す

  • 【学生】探してきた看板等を3,4人のグループで紹介し合います。
  • 【学生】もっとも気になったものを選び、それについて自分たちで「2.教師主導の分析」に記載の質問を考え、クラスで発表します。

参考文献

こんな先生・活動にお勧めです!
E

オーセンティックな教材をつかって、身近な看板を分析できる活動になっています。
教室と教室外をつなぐ活動としても使えます。
言語に対する意識を高めるためにおすすめです。