アクティビティのねらい・概要
ねらい
このアクティビティでは、言語ポートレートを描くことで、自分自身の言語観について振り返ります。
また、クラスメイトの多様な言語バックグラウンドについても考えられます。
概要
目標 |
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学生の日本語力 | 問わない |
その他の言語力 |
日本語以外の言語でディスカッションをする場合は、教師・学生ともにその言語で中級後半(B2)以上 |
所要時間 |
30分~1時間 |
おすすめクラス | 学期はじめのアイスブレイクとして取り入れるのがおすすめ! |
手順
1.事前準備
- 【教師】自分の言語ポートレート、または例として示せるポートレートを用意する。
私の目、口、耳、手には英語と日本語を書き入れました。留学が終わってからも日常的に英語に触れていたいので、独り言や海外ドラマ、友人とのチャットなどを通して英語を意識的に使っているからです。夢を見るときも、英語の時も日本語の時もあるので、脳みそも英語と日本語にしました。 心のパートには茨城弁と書き入れました。私は茨城県出身で、自分ではあまり気が付きませんが、語尾上がりなどの訛りがあるらしいからです。 お腹の部分には今までにかじったことのあるアラビア語、中国語、スペイン語、韓国語と書きました。どの言語も話せるレベルまでは到達しておらず「消化不良」だから胃のあたりに書きました。(日本語母語話者の例)
学習したことのある言語、相手や場面によって使い分ける言語、精神的なつながりのある言語、今後習得したい言語など、複数のパターンを提示するのが望ましいです。
2. タスクの提示:言語ポートレートを描いてみよう
- 【教師】以下のタスクを提示します。
自分の言語リソースを振り返って、言語ポートレートを描いてみよう!
- 【学生】紙とペンを用意します。
- オンラインの場合、紙とペンを用意してもらい書きあがったものを写真で撮って共有もできますが、Google slidesなどを使ってオンライン上で共有することも可能です。
- 【学生】人のシルエットを描き、そこに自分の持つ言語リソースを書き入れていきます。その時、説明書きを加えてもいいです。
3. ペア・グループワーク
- 【学生】自分の描いた言語ポートレートをペア・グループメンバーに説明します。その時、自分とその言語の関係性を言語化します。
- 【学生】交代で一人ずつ自分の言語ポートレートを共有します。
- 【教師】以下のような点について、話し合わせます。
- なぜその言語が体のその位置にあるのか
- どのように自分とその言語が関わっているのか・関わってきたのか
- 今後その言語とどのように関わっていきたいのか
実際に完成した言語ポートレートとして、以下があります。
4. クラス全体ディスカッション
- 【教師】発表後、一人ずつ学んだことを紹介させます。
- 学んだこと・気づいたこと・驚いたこと・不思議に思ったこと
- 一つ、二つのことを選んで、どうしてそう思ったのか、詳しく説明する
以下は、実際に出た意見・表現の例です。
(村上・北川 (2021) を参考に作成)
参考文献
- 村上智子, & 北川幸子. (2021). 学習者の主体性を重視する日本語クラスにおける Language Portrait を用いた活動の試み. 日本語教育方法研究会誌, 28(1), 40-41.
日本語学習に関連したアイスブレイクをしたい先生にお薦めです。
学生は、言語ポートレートを描くことを通して、自分と自分の言語リソースとの関係性について再認識し、言語化することができます。
また、クラス内で多様な言語バックグラウンドが観察されることから、文化・言語背景による違いを意識できます。
なぜ日本語を勉強したいのかを実感・再確認することもできます。