アクティビティのねらい・概要
ねらい
このアクティビティでは、複数の言語を使ったロールプレイを考えます。
複数の言語を使う目的やメリットを考えることで、自分の言語使用について内省できる活動になっています。
概要
目標 |
|
学生の日本語力 |
問わない |
その他の言語力 |
|
所要時間 | 1時間 |
おすすめクラス | 普段から複数の言語で生活している学生の多いクラスでするのがおすすめ。 |
手順
ロードマップ
1.ウォームアップ
- 【学生】温又柔(おんゆうじゅう)の『台湾生まれ 日本語育ち』(2015年、白水社, p. 33)の一部を読みます。
我が家の女はお喋りだ。わたしと妹がピーチク・パーチク、母はキリグァラ・キリグァラ [注:台湾語でピーチク・パーチクに近い意味]。わたしと妹は主に日本語で喋るのだが、母は日本語のほかに中国語や台湾語を奔放に繋ぎあわせる。たとえば母は、
ーあんたたちがぺちゃくちゃ喋っているのを聞いていると、お菓子を食べそびちゃう。
といいたいとき、こんな風に話す。
ーティアー・リン・レ・講話、キリクァラキリクァラ、ママ、食べられないお菓子。
※学生のレベルに合わせて、最後の母のセリフ一文のみを提示することも可能です。
- 【教師】次の質問をします。
- どうして温又柔のお母さんは「ティアー・リン・レ・講話、キリクァラキリクァラ、ママ、食べられないお菓子」と日本語・中国語・台湾語を使って話していると思いますか。
- あなたも、同じ会話内で、複数のことば(または複数の方言)を使って話すことがありますか。する場合は、それはいつ、だれと話しているときでしたか。
2. 言語使用の分析
- 【学生】動画(『Things Bilingual People Do』)を見て、バイリンガルの人が二言語を使う理由をメモします。
- 【教師】次の質問をします。
- 動画と同じような目的で2つ以上の言語を使ったことがありますか。
- それ以外の目的で2つ以上の言語を使ったことがありますか。
他の目的としては以下のようなものがあげられます(Galante 2017)。
- 相手と親密な関係を築くため
- 効率的にコミュニケーションするため
- 自分の言語・文化を教えるため
- 相手を会話の輪の中に入れるため
- 創造的に言語を使うため
- 翻訳できないことば・表現があるため
- 国際的に知られていることば・表現のため(FYI(for your information:参考まで)、TBD(to be determined:未定)、RSVP(répondez s’il vous plaît:返事ください)など)
- ある言語でしか表現できない感情があるため
- 言語・方言を使って自分のアイデンティティを示せるため
3. ロールプレイ
- 【学生】3人のグループになって、複数の言語を使う状況を考え、1分ほどのロールプレイを作って発表します。
- 【学生】聞いている学生は、次の3つを考えます。
- 複数の言語はどのように使われていたか(単語レベルで使われていたか、文レベルで使われていたか)
- どの言語・方言を使っていたか
- なぜ複数の言語を使ったのか
4. 振り返り
【教師】今回の活動のまとめとして、以下について質問し、クラス全体で共有します。
- 複数の言語を使うことのメリットは何だと思いますか。
- 複数の言語を使うことがふさわしくない場面はどのようなときですか。
参考文献
- Galante, A. (2017). Breaking the invisible wall. Task 3 code-switching (breakingtheinvisiblewall.com)
こんな先生・活動にお勧めです!
E
普段から複数の言語を使って生活している学生は、自分の言語使用を振り返るきっかけになります。
また、複数の言語を使う目的について考えたり、複数の言語を使ったロールプレイをすることで、場面に応じて効果的に自分の言語リソースを使う力を育むことができます。