アクティビティのねらい・概要
ねらい
このアクティビティでは、日本語と自分のことばの「概念メタファー」を比べます。日本語と母語などの共通点や違いを比べながら、言語による「ものの捉え方」を意識できます。
概要
| 目標 |
|
| 学生の日本語力 | 中級(B1以上) |
| その他の言語力 |
中級後半(B2)以上の媒介語が必要 |
| 所要時間 | 90分 |
| おすすめクラス | 母語が多様なクラスで言語を比較する活動として取り入れるのがおすすめ。 |
手順
ロードマップ

1.概念メタファーの説明
- 【教師】概念メタファーについて、以下のように説明します。
私たちは、難しいことや目に見えないことを考えるとき、よく知っているものを使って考えています。
このような考え方のたとえを「概念メタファー」といいます。
たとえば、時間について考えるとき
- 時間を無駄にする
- 時間がかかる
- 時間がもったいない
などいいます。ここでは、時間を「お金」のように考えています。

人生にについて考えるとき、日本語では次のように言います。
- 人生の道
- 人生の分かれ道
- この先どう進むか
- 回り道をする
- 新しい道を行く

これは本当に歩いているわけではありません。人生を「道・旅」として見ています。
概念メタファーは、言語の中にある「ものの考え方」をみる鍵になります。
2. 日本語の例の紹介
- 【教師】Emotions are containers(感情は容器である)という概念メタファーを紹介し、日本語の表現と簡単な意味を紹介します。

3. 母語などとの比較①
- 【教師】ワークシート①を配ります。母語が同じ学生が一緒になり、ペアでワークシートを埋めます。
【ワークシート①】

- 【教師】学生のワークシートを共有し、言語間の比較をします。
以下は、英語での例です。
【ワークシート①】
| 日本語の表現例 | 自分のことばでの翻訳(英語例) | 気づいたこと(共通点・違い) |
|---|---|---|
| 胸がいっぱいになる | My heart is full. / To be overcome with emotion. | 「心(胸)が何かの感情でいっぱい」というイメージは同じです。でも英語では「Heart」をよく使います。 |
| 心が満たされる | To feel fulfilled. / To be content. | 「満たされる」は英語の「fulfilled」と似ています。 |
| 胸にしまう | To keep something to oneself. / To bottle it up. | 英語の「bottle up」は、「ボトルに閉じ込める」のでイメージが近いです。 |
| 喜びがあふれる | To be bursting with joy. / To overflow with happiness. | 「あふれる」は英語の「overflow」と同じです。喜びが液体(水)のように外に出るイメージは、日本語も英語も同じだと思いました。 |
| 怒りが爆発する | To explode with anger. / To blow up. | どちらの言葉も「爆発(explode)」を使います。怒りが強すぎて、最後は容器が壊れてしまうイメージは同じで面白いです。 |
4. 母語などとの比較②
- 【教師】ワークシート②を配ります。母語が同じ学生が一緒になり、感情を表すときの言い方を考えます。
【ワークシート②】
あなたの知っていることばで、感情を表すときのおもしろい言い方を教えてください。

以下は、英語での例です。
| 表現 | 意味 | 何に たとえていますか |
|---|---|---|
| Butterflies in my stomach | 緊張して、ドキドキ・ソワソワする | 容器(腹)の中に動物がいる |
| Boiling with anger | とても怒っている | 体=お鍋・やかん、怒り=水 |
| I’m feeling blue | 元気がなくて、落ち込んでいる | 色 |
- 【教師】学生のワークシートを共有し、言語間の比較をします。
- 【学生】今回の活動を通して気づいたことなどを共有します。
参考文献
- Lakoff, G., & Johnson, M. (1980). Metaphors we live by. University of Chicago press.
こんな先生・活動にお勧めです!

「なぜ日本語ではこう言うのか?」という認知的な背景を伝えることで、中上級レベルの学生の知的好奇心を刺激することができます。多様な文化背景のクラスでやることで、様々な言語の比較もできます。学生と一緒にことばの不思議を探求したいときに、ぜひ使ってみてください。