日本語の詩を創作して、多言語化してみよう

アクティビティのねらい・概要

ねらい

このアクティビティは、日本語の既存の詩をベースに、日本語で自分の詩を創作し、多言語化する活動です。

日本語の詩を楽しむだけでなく、自分で詩を作ることによって、創作力を養えます。また、自分・他者の詩を他の言語にすることによって、翻訳のスキルも身に着けることができます。

概要

目標
  • 日本語の詩をもとに、自分自身の詩を日本語で創作できる。
  • クラスメートの詩を、クラスメートの意図を確認しながら、翻訳できる。
  • 自分自身の詩の翻訳と、クラスメートの詩の翻訳について振り返り、違いを意識できる。
学生の日本語力 中級(B1)以上
その他の言語力
  • 教師は学生が母語等で書いたものが読めて理解できることが望ましいが必須ではない(話せなくてOK)。
  • 学生は他の学生の書いたものが読めて理解できることが望ましいが必須ではない(話せなくてOK)。
所要時間 2時間
おすすめクラス 母語が多様なクラスで実施するのがおすすめ

手順

ロードマップ

1.事前準備

  • 【教師】授業で使う詩を選んでおきます。

詩の候補としては、以下のようなものが考えられます

  • 『生きる』谷川俊太郎
    ※「生きているということ いま生きているということ それはのどがかわくということ 木漏れ日がまぶしいということ ふっと或るメロディを思い出すということ くしゃみすること」からはじまる有名な詩です。「生きているということ いま生きているということ」の冒頭部分はそのままにし、その後の部分を学生一人一人が創作することができます。
  • 『わたしと小鳥とすずと』金子みすゞ
    ※大正時代の童謡詩人である金子みすゞの詩で、私・小鳥・鈴がそれぞれの特色をもって生きていることを歌い上げています。最後の「みんなちがって みんないい」のみそのままにし、「〇と〇と〇」という3つのトピックを学生が選び、そのそれぞれの特色を詩にすることができます。

2. 詩の紹介

  • 【教師】選んだ詩を朗読します。語彙や文法等を確認します。
  • 【学生】ペアになって、詩を朗読し合います。また、詩の中で心に響いた点を伝えます。

3. 創作する

  • 【教師】選んだ詩の一部を残し、残りの部分を日本語で創作するように伝えます。教師自身が作成した例を見せてもいいでしょう。
  • 【学生】各自、詩を創作します。(※宿題することも可能です。)
  • 【教師】学生が言いたいことを日本語でどう表現すればいいかわからない場合、適宜サポートをします。
  • 【学生】詩ができたら、ペアまたはグループで見せ合います。時間があれば、朗読し合ったり、コメントを言い合います。

4. 多言語化する

  • 【学生】自作の日本語の詩を、自分の好きな言語に翻訳します。
  • 【学生】自作の詩を翻訳できたら、数人のクラスメートの詩を自分の好きな言語に翻訳します。
    ※クラスメートが自分で翻訳した言語以外の言語を選びます。
  • 【教師】クラスメートの詩を翻訳する際は、(特にクラスメートがその言語を知らない場合)適宜、相手の意図を確認しながら翻訳するように促します。
  • 【学生】クラスメートの詩の翻訳ができたら、自分の翻訳をそのクラスメートにプレゼントします。
  • 【教師】全員の日本語の詩を、様々な言語の翻訳版とともに、クラス全体で共有します。

5. 振り返り

  • 【学生】詩の創作や、自分の詩の翻訳、クラスメートの詩の翻訳を通して、工夫したこと、難しかったこと、学んだことは何かを振り返り、報告します。

参考文献

  • de Gato, M. V. (2019). Translation and multilingual/creative writing. In The Routledge Handbook of Translation and Education (pp. 189-206). Routledge.

こんな先生・活動にお勧めです!
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詩を楽しみながら、学生の創造力を育みたいときに、おすすめの活動です。
母語が多様なクラスで実施することで、学生自身が、自分の詩が様々な言語に翻訳されるという経験を味わうことができます。翻訳者として、自分の詩を翻訳するときと、他者の詩を翻訳するときの違いも意識することができます。
母語が多様なクラスの最終プロジェクトとして実施することで、クラスの思い出作りにもなります。