広告・商品の中のことば遊びを翻訳してみよう

アクティビティのねらい・概要

ねらい

このアクティビティでは、ことば遊びを含む広告・商品の分析を通して、ユーモアを翻訳する際の注意点やストラテジーを学びます。

概要

目標
  • 日本語の広告内のことば遊びを分析できる。
  • 翻訳できない表現の翻訳ストラテジーを考えながら、広告のユーモアを翻訳できる。
学生の日本語力 中級後半(B2)以上
その他の言語力
  • 教師は学生の媒介語の翻訳が読めて理解できるレベル(話せなくてOK)
  • 学生は、中級(B1)以上の媒介語力が必要

所要時間

1時間
おすすめクラス ユーモアの翻訳について考えてみたいときにおすすめ!

手順

ロードマップ

1.事前準備

  • 【学生】ことば遊びが含まれる日本語の広告や商品を1人3つ探してきます。
  • 【教師】学生が事前に見つけてくるのは難しい可能性があるので、事前にことば遊びを含む広告・商品の例をいくつか用意しておきます。
    ※学生に事前準備を課すときに、例として提示してもいいでしょう。

ことば遊びを含む広告の例です。

  • 甘くないオレ(引用:日本食糧新聞
    ※2009年に発売されたサントリー食品の砂糖不使用のコーヒー飲料

2. グループワーク:広告・商品の共有・分析・書き直し

  • 【学生】3人1グループに分かれ、それぞれの広告・商品を共有します。9個のうち3つを選びます。
  • 【学生】広告・商品に使われていることば遊びの構造を分析して、日本語でわかりやすく書き直してみます。このとき、もともと使われていることば遊びや新たなことば遊びを使ったりせず、説明的に書き直します。

教師は分析をさせる前に、いくつか例を提示してもいいでしょう。

上記の広告・商品の場合だと、以下のような書き直し案があります。
※解釈は一つではないので、様々な書き直し案が可能です。

  • 「お、ねだん以上ニトリ」
    • 「お(びっくりしました)、ニトリには値段より価値や品質の高い商品があります」
    • 「ニトリにはお値段より価値や品質の高い商品があります」
  • 「甘くないオレ」
    • 「オレが飲むこの飲み物は甘くない」
    • 「オレは性格が甘くない。厳しい人間だ」
  • 「マチのほっとステーション」
    • 「ここは、街の中で心が落ち着ける場所です」
    • 「ここは、街で人気の商品(ホットな商品)を扱っている場所です」
  • 【学生】異なるグループのメンバー同士で新しいグループを作り、それぞれの書き直し案を共有します。

3. 翻訳とディスカッション

  • 【学生】最初に書き直しをしたときのグループに戻ります。自分たちが選んだ広告・商品3つを各自で媒介語に翻訳し、グループで共有して、一番よいものを選びます。
    ※母語が多様なクラスの場合、媒介語に加え、母語でも翻訳してもらってもいいです。その場合、母語でどのように翻訳したのかの説明と理由も加えます。
  • 【学生】ことば遊びを翻訳する際のストラテジーについて話し合います。
  • 【教師】クラス全体で、各グループの翻訳案や話し合いの内容を共有し、意見をまとめます。

参考文献

  • Davies, M. G. (2004). Multiple voices in the translation classroom: Activities, tasks and projects (Vol. 54). John Benjamins Publishing. p.124-125

こんな先生・活動にお勧めです!
E

中級後半~上級クラスで、ユーモアの翻訳について、学生と考えてみたいというときにおすすめです。
学生は、広告・商品を自分で探してみることで、様々な広告・商品に触れることもできます。また、翻訳できないものがある中で、どうメッセージを伝えるかを考えることで、問題解決力も身に着きます。
時間があれば、英語(またはクラスの共通言語)の言葉遊びが使われた広告・商品を日本語に翻訳しても面白いでしょう。