アクティビティのねらい・概要
ねらい
このアクティビティでは、多読教材を英語から日本語に訳して、日英バイリンガル版を作成します。
既存の英語のレベル別多読教材を使うことで、初級の学生からオーセンティックなタスクを導入できます。言語間の比較もできる活動になっています。
概要
目標 |
|
学生の日本語力 |
初級(A1、A2) |
その他の言語力 |
中級後半(B2)以上の媒介語が必要 |
所要時間 | 2時間 |
おすすめクラス | 初級のクラスでオーセンティックなタスクとして取り入れるのがおすすめ |
手順
ロードマップ

1.事前準備
- 【教師】クラスで使用する英語の子ども向けレベル別多読教材を選びます。おすすめの教材は以下のとおりです。

(画像引用:Scholastic)
※子ども向けのレベル別多読教材で、レベルAからHまであります。各レベルに8ページの本が25冊収録されています。
※初級の学生にはレベルA~Dがおすすめです。
※既に英語・スペイン語のバイリンガル版も発売されており、これを見本にすることもできます。
- Oxford Reading Treesシリーズ:

(画像引用:Oxford Univesity Press)
※子ども向けのレベル別多読教材で、10段階にわかれています。各話8~16ページほどです。各レベルにTrunk stories(メインストーリー)として6冊ずつ収録されています。
※初級クラスの学生にはレベル1+~レベル4がおすすめです。
2025年現在、レベル別読み物はウェブで無料で公開されているものもあります。
- Loving2read(https://loving2read.com/preschool/):1000以上の本が無料で公開されています。Preschoolの本がおすすめです。
- Wilbooks(Free resources, guided reading):(https://www.wilbooks.com/free-online-books-guided-reading-level-a):レベル別の本の一部が無料で公開されています。レベルA~Dがおすすめです。
2.多読教材の紹介
- 【教師】クラスで使用する多読教材を紹介します。時間をとって、いくつかの本を読む時間を与えます。
- 【学生】以下について話し合います。
- 子ども向けの多読教材には、以下の点でどのような特徴がありますか。
- ストーリー構成
- 言語表現
- イラスト
- 子どものときにこのようなレベル別多読教材を使用していましたか。
- 子ども向けの多読教材には、以下の点でどのような特徴がありますか。
3. 翻訳
- 【教師】以下のタスクを示します。
日英のバイリンガルの子ども用に、英語のレベル別多読教材のバイリンガル版を作ります。
英語の多読教材には大きく分けて以下の2つがあります。
- ①Graded Readers(GR)英語学習者用のレベル別読み物
- ②Leveled Readers(LR)英語母語話者の子どもに読書を習慣づけることを目的としたレベル別読み物
今回取り上げるのは②の母語話者の子ども向けLeveled Readersになります。
※日本語の多読教材は、学習者向けの①Graded Readersが主になっており、母語話者向けの②Leveled Readersはないようです(2025年現在)。
※今回、日英バイリンガルの子ども用に②Leveled Readersのバイリンガル版を作成することで、オーセンティックなタスクを取り入れることができます。
- 【学生】グループになり、教材の中から1つ翻訳したい本を選びます。
※各グループが違う本を選ぶようにします。 - 【学生】必要に応じて辞書を使ったり、教師にアドバイスをもらいながら、グループで翻訳します。
- 【学生】翻訳で複数の選択肢があったところを、3つほどピックアップし、なぜその訳を選んだのか説明できるようにしておきます。
ディスカッションの例として以下のようなものがあります。
教材の内容:
『Hurry Up! Hurry Up!』(First Little Readers レベルA)
- p. 1:Hurry Up! Hurry Up!(タイトル)
- p. 2:Get out of bed. Hurry up! Hurry up!
- p. 3:Brush my teeth. Hurry up! Hurry up!
- p. 4:Get dressed. Hurry up! Hurry up!
- p. 5:Eat breakfast. Hurry up! Hurry up!
- p. 6:Take my lunch. Hurry up! Hurry up!
- p. 7:Get the bus. Hurry up! Hurry up!
- p. 8:It is the first day of school! Hurry up! Hurry up!
複数の選択肢のあるものの例:
- (語彙)「Get out of bed.」:「起きます」にするか「ベッドから出ます」にするか
- (文型)「Hurry Up!」:「急いで!」「急ぎなさい!」「急ごう!」にするか
- (文体)「Brush my teeth」:「歯を磨く」にするか「歯を磨きます」にするか
- (表記)「Hurry Up!」:「いそいで!(ひらがなのみ)」「急(いそ)いで!(ふりがなをつける)」にするか
4. 読み聞かせ会
- 【学生】新しいグループになり、バイリンガル版の読み聞かせ会を行います。自分が担当した教材の英語と日本語をどちらも読みます。その後、翻訳で複数の選択肢があったところを紹介します。
参考文献
- Deborah Schecter (2010). First Little Readers Guided Reading Level A: 25 Irresistible Books That Are Just the Right Level for Beginning Readers. Scholastic Teaching Resources.
- Alex Brychta, Gill Howell, and Roderick Hunt (2011) Oxford Reading Tree Biff, Chip and Kipper Level 1+: First Sentences A: Mixed Pack of 6. Oxford University Press España, S.A.

この活動では、既存のレベル別多読教材をバイリンガル版にします。
レベル別多読教材は語彙等が制限されており、簡単なレベルのものは非常にシンプルな文章の繰り返しが見られます。このため、初級の学生からオーセンティックなタスクを導入し、文型の定着も図ることができます。また、翻訳を通して言語間の比較もすることができます。初級のクラスでオーセンティックなことをしたいときにお薦めです。