広告の翻訳を通して、オノマトペについて考えよう

アクティビティのねらい・概要

ねらい

このアクティビティでは、オノマトペを用いた日本語のCMを翻訳します。

翻訳を通して、CMに適切な言葉遣いや、広告におけるオノマトペの効果について考えられます。

概要

目標
  • 日本語の広告でのオノマトペの役割・効果について理解できる。
  • 広告というジャンルに適した言語表現・スタイルについて、日本語と他の言語を比較できる。
  • 日本語の広告でのオノマトペの役割・効果を理解した上で、他の言語で同じ効果を生み出すための翻訳ができる。
学生の日本語力 初級(A2)以上
その他の言語力
  • 教師は、学生の翻訳の内容が理解できる力(話せなくてOK)。ただし、ディスカッションを英語で行う場合は、ディスカッションができる英語力
  • 学生は、中級後半(B2)以上の英語力が必要

所要時間

2時間
おすすめクラス 大学生・成年向けの語学クラスで、考えさせるタスクとして取り入れるのがおすすめ!

手順

ロードマップ

1.事前課題

  • 【教師】クラスで使用するCM2つを選んでおきます。

CMは、オノマトペが入っていることが必須です。それ以外は学生の日本語レベルに合わせて選びましょう。

2022年1月現在、以下のような例があります。

2. ウォーミングアップ              

  • 【教師】オノマトペ(「すーっと」「すきっと」「とろり」「つやつや」等)を含む広告を、商品名を隠して見せます。
  • 【学生】オノマトペの音やその他の視覚情報をもとに何の商品か考えます。商品のクオリティ(味・効能など)についても予想します。
  • 【教師】ジェスチャーや英訳、他の用例を提示しながら各オノマトペの意味を説明します。
  • 【教師】他の商品やCMの例を出し、オノマトペの使用を観察させます。
  • 【学生】英語やその他の自分の知っている言語でいつオノマトペを使用するかを話し合い、日本語と比較します。  

以下は、実際に出た意見の例です。

  • 擬音語はあるが、擬態語はあまり聞かない。
  • 子供っぽいイメージがある。
  • 話したりテキストメッセージでよくオノマトペを使っている。

※学生の日本語レベルによっては、英語でディスカッションをするほうが内容が深まります。

3. タスクの提示:翻訳課題CMの分析

  • 【教師】以下のタスクを提示します。

あなたは、〇〇会社で働いています。このCMの人気が出たのでオフィシャルYouTubeサイトに字幕をつけることにしました。

  • 【学生】教師の選んできたCMを視聴します。
  • 【教師】使用されているオノマトペの意味や、その他の語彙・文法を確認します。
  • 【学生】CMの目的と、CMでオノマトペを使う理由と効果について、ペアで話し合います。いくつかのペアが発表します。

以下は、実際に出た意見の例です。

  • オノマトペを使うことで商品を明確にわかりやすく提示できる。
  • 顧客の興味をそそることができる。

4.試訳・ディスカッション

  • 【学生】CMの英語字幕を考えます。
  • 【学生】試訳ができたら、以下の点をペアで話し合います。
    1. 語彙・表現の選択(日本語のオノマトペを含む表現を訳す際にオノマトペのような表現を使ったか否か、その理由)
    2. 広告というジャンルに適したスタイル・語彙選択について
  • 【学生】何人かの試訳をクラス全体で共有します。

5. 宿題

  • 【教師】別のCMを提示します。クラスで使用した同じタスクを与え、字幕スクリプトとコメンタリーの提出を宿題とします。

※翻訳するだけでなく、自分がそのように答えた理由も書きます。翻訳だけでなく理由も書かせることで、言葉の選択について考えさせることができます。                                                                        

以下は、実際にコメンタリーで出た意見の例です。

参考文献

  • 行木瑛子・岩﨑典子 (2019) 「日本語オノマトペへの意識と感覚を培う初級クラスの翻訳活動:広告のオノマトペを使って」『日本語教育』第174号, 71-85.

こんな先生・活動にお勧めです!
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学生に「考えるタスク」を与えたいと思っている先生にお薦めです。日本語の広告におけるオノマトペの役割・効果について考えられます。
また、どう母語等で日本語のオノマトペと同じ効果をもたらせるかを翻訳を通して考えることで、オノマトペの効果への理解を高められます。
初級の学生にオノマトペを導入するのによいアクティビティです。