ブログの翻訳を通して、スタイルシフトについて考えよう

アクティビティのねらい・概要

ねらい

このアクティビティでは、スタイルシフトを含むブログを翻訳します。

翻訳を通して、ブログにおける日本語のスタイルシフトの役割や効果について考えられます。

概要

目標
  • ブログでの日本語のスタイルシフトの役割や効果について理解できる。
  • 日本語のスタイルシフトの効果を、英語で表現できる。
学生の日本語力 中級後半(B2)以上
その他の言語力
  • 教師は、学生の翻訳の内容がわかる力(話せなくてOK)
  • 学生は、中級後半(B2)レベルの英語力が必要

所要時間

2時間
おすすめクラス 大学生・成年向けの語学クラスで、考えさせるタスクとして取り入れるのがおすすめ!

手順

ロードマップ

1.事前準備

  • 【教師】文体や絵文字の使用、様々な分野の著名人の日本語のブログを3つ選びます。

2022年3月現在、以下のような例があります。 

  • 【教師】3人の著名人について説明します(時間があれば、学生に調べさせてもいいでしょう)。その後、名前は伏せた状態で3人のブログを見せます。
  • 【学生】文体や絵文字の使用の有無、使用語彙などを手掛かりにそのブログの筆者を当てます。

2. ウォーミングアップ:ブログ記事の分析

  • 【教師】アイドルのブログ記事を見せます。どのアイドルでもいいですが、記事の中に、丁寧体から普通体へのスタイルシフトを含んでいるものを選びます。絵文字を使用していることも望ましいです。                                    
  • 【教師】記事の内容を学生と確認してから、ブログの目的、著者と読み手の関係、著者の性格などの社会的な背景について、学生に考えさせます。
  • 【学生】その後、以下の3点について話し合います。
    1. どうして筆者は記事の途中で丁寧体から普通体に変えたのか
    2. 筆者はどんな人柄を演出しようとしているか
    3. 絵文字はどんな役割があるか 

3. タスクの提示

  • 【教師】以下のタスクを提示します。

あなたはアイドルグループ〇〇のファンです。自分のブログに〇〇の一部を翻訳して、紹介することにしました。      

  • 【学生】まず、一人でどう翻訳するか考えます。
  • 【教師】ペアでそれぞれの翻訳を比べさせいくつかのペアにクラスで発表してもらいます。
  • 【教師】以下の点を考えながら、ペアで話し合い、いくつかのペアに発表してもらいます。
    • スタイルシフトをどう英語に翻訳したか
    • 絵文字についてはどうしたか

以下は、実際に出た意見の例です。

  • 同じ相手には丁寧体か普通体のどちらかを使うと思っていたが、常に同じ文体を使う必要はなく、内容に応じて変えることができることを知った。
  • どの文体をどう使用しているかによって、その人のパーソナリティも推測できることがわかって面白かった。また、普通体・丁寧体を使うことで相手に与える印象を変えられることを知った。

4. 宿題

  • 【教師】英語圏のアイドルのブログ記事を英語から日本語に翻訳させ、それについてのコメントを書かせます。

※翻訳時の設定:あなたはアイドル〇〇のファンです。日本にも〇〇のファンがいるので、その人たちに向けて、〇〇のブログの一部を翻訳して、紹介することにしました。

※絵文字を使用する効果について触れるのもよいかもしれません。

※翻訳のコメントは、なぜこのような訳を採用したのかについて補足するためのものです。

参考文献

  • Gyogi, E. (2015). Is a style shift grammatically incorrect?: An indexical approach to teaching speech styles. BATJ Journal, 16, 1-18.  

こんな先生・活動にお勧めです!
M

学生に「考えるタスク」を与えたいと思っている先生にお薦めです。

学生はこのアクティビティで、日本語のスタイルシフトに現れる社会的意味や筆者の意図をどのように英語に翻訳できるか考えられます。

日英間のスピーチスタイルについて理解を深めることができます。
なお、今回は英語の例を紹介しましたが、他の共通言語があればその言語を使用することも可能です。